小学4年生の息子がリスペリドンを飲んでいる話

今10歳、小学4年生の息子がいます。
もう、生まれた時から本当に育てるのが大変でした。
感情の起伏が激しくて話が通じなくてお互い共感しあえなくて
何度か発達障害ではないかと保育園や学校に相談をしても「違います」と言われ続けました。
「そういう感じではないと思います」」と。
それなら一般的な育児・指導・しつけをするしかないと頑張ってきましたが。
小学4年生になって、彼は爆発しました。
そしてようやく、発達系のクリニックに通うことになりました
今、自閉症の子どもに処方されることが多い「リスペリドン」という薬を飲んでいます。
副作用も強いと言われている薬なので最初は躊躇しましたが、今のところとても順調です。
もっと早くに症状を正しく判断してあげてたら、本人も楽だっただろうな、と思っています。

 

乳幼児の時は、とにかく寝ないし、泣き続ける

新生児の時から本当に一人で眠れない赤ちゃんでした。
抱っこをすればなんとかうとうとしてくれるのですが、置いた瞬間に目を覚まします
眠くても眠れないのか、抱っこやおんぶをしても何時間も泣き続けることもザラ。
本当に24時間寝なくて、小児科3件を回りましたが「寝ないで死んだ赤ちゃんいませんから大丈夫です」と笑われました。
(親が死にそうんだけど…常に眠くて、意識をどの瞬間に失ってもおかしくない状況。そんなんで抱っこしてたら、無意識に落としてしまうかもよ、そしたら死ぬかもよ…!?なんて言い返せず。)
泣き方も血管が切れるんじゃないかと思うくらい、顔を真っ赤にして泣き続けます。
「放っておけば疲れて寝るよ」と言われても、2時間泣き続けたところで諦めました
「歌を歌ってあげたら」と言われても、こっちの声が届かないくらいの大声で泣いてるんです。
「散歩とかで気分を変えたら」と言われても、ベビーカーでのけぞって泣きわめき続けるから注目の的。
抱っこしてもおんぶしても何をしても、ずっと泣いていました
ほんとに、しんどかった。

 

保育園時代は、すぐ泣くし、すぐ怒る

3歳くらいになったら、寝かせつける時間が1時間以内に落ち着いてきました。
でも、感情の起伏はどんどん激しくなりました。
マイナス方向の、負の感情の起伏が。
ちょっと嫌なことがあったら泣いて怒りました。
保育園に迎えに行くのが友達と遊んでいる最中だったら、「なんで今だよ!」と泣きわめいて怒る
(そう言われても、保育園で遊んでない時間なんてほぼなくて、つまりほぼ毎日泣きわめいて怒る息子を、なんとか自転車に乗せて、いろんな人にどうしたんだろうという目で見られながら帰る
帰宅後「ご飯の準備ができたよ」と声をかけるタイミングが悪いと、泣いてわめいて怒って暴れてめちゃくちゃになる。
(テレビを見ている時とか、絵を描いているとか、工作をしているとか、一応区切りのよさそうなところを見計らって声をかけてはいたのですが、こちらの感覚と合うことはほぼありませんでした)
何か楽しいことをしても(例えばディズニーランドに行っても)、「帰ろうか」と声をかけるタイミングが本人の思っているタイミングとずれると、泣いてわめいて何も楽しくなかったと暴れて怒る
彼を怒らせるスイッチがいろんなところにありすぎて、そしてそれがこちらからは全く想像できないもので、対策も取れず。
同じ空間にいるのが辛くて、ほんとに、しんどかった。

 

小学校低学年は家庭崩壊を恐れる日々

小学校低学年のうちも、保育園時代の延長のような感じでした。
日常のいろんなシーンに、息子の感情を逆なでするいろんなものがあるようでした。
掃除の時間にサボっている子がいたらそれを許せなくて、やるまで注意し続けてケンカになるとか。
体育の授業でキックベースをして、息子からみたらズルをした子がいたらイライラが収まらなくなるとか。
イライラしても人や物に手を出すことはありませんでしたが、持って帰ってくるプリントがぐちゃぐちゃに丸められていたり、筆箱に鉛筆であけた穴があったり、というのは日常茶飯事でした。
わたしも当時は会社員で、時短と言いながら家での仕事も含めると1日10時間くらいは仕事をしていたので心身ともに全く余裕がなく、常に息子とはふたりともケンカ口調
何か聞いても対応する答えが返ってこないし、何回注意しても同じことを繰り返すし、毎日修羅場
憎しみに近い感情を持ってしまうこともあって、なんとかしなければと会社員を辞める大きな一因になりました。
そして、息子が小学2年生の8月にフリーランスに転向しました。
目に見えてわかる変化はあったかどうか…という感じですが、小学3年生で息子が学童に苦手な子がいて、それが原因で学校にも行きたくないと言った時、すんなり学童を辞めさせることができたのは、このおかげでした。

 

小学校4年生で周囲に迷惑をかけるように

小学校4年生になったら、家での様子は前と比べると落ち着いたように見えていました
イライラすることも減ったし、ホッとしかけていたのですが。
小学4年生の10月に学校から重ねて電話がかかってくるようになりました。
イライラが募って机や壁、防火扉を蹴って周りの子も危なかった
授業中に怒って出て行って、午前中ずっと戻ってこなかった
暴れるのが収まらないので、他のクラスの先生の手も借りて職員室に運んだ
周りの子の安全を確保するための対応に手が取られて、授業ができなかった
それまで学校から電話がかかってくることはなかったので、あまりに急なことで頭が真っ白になりました。
息子に学校でのことを聞いてもほとんど話さないし、話しても先生が言うようなこととは全く別のことだし、家での様子とも違いすぎて、信じがたかったです。

小学3年生まではイライラをぶつける対象が自分の範囲ですんでいたのが、ついに周りに迷惑をかけ始めたんです。
他のクラスの先生や、他の子どもたちに負担をかけてしまっている
学校に行かせるのが怖くなりました

周りに迷惑をかけているわけではないけれど、他にも衝撃的な事実が発覚しました。
教室の自席に座っていても、違うことをしていることが多い
音楽室や美術教室に移動する時に、廊下を寝そべってヘビのように移動している
何の前触れもなく、こう聞いたらビックリしますよね…。
授業中にノートに落書きをしている、くらいの報告は受けたことがありましたが、あまりの振れ幅でした。

 

すぐに発達クリニックへ

学校からは、スクールカウンセラーとの面談と、月に1回巡回している心理士さんとの面談を勧められました。
すぐにそれはお願いをして、それ以外にも、市の相談センターへも相談に行きました。
そして、平行して小児心療内科や発達クリニックを調べました。
通える範囲で、小学生を見てくれる専門の病院で見つけたのは2つ。
うち1つはかなり有名な小児の発達クリニックで、初診で通おうとしても予約が取れないと言われているところだったのですが、たまたま見たときに「明日の初診枠が1つ空きました」となっており。
当日の朝電話をしたらまだいけたので、迷わず学校を早退することにして、診てもらうことができました。
本当にラッキーとしか言えないです。
ちなみに、もう1つのクリニックも紹介状をとって予約をしましたが、初診まで約半年待ちだそうです。

 

最初に処方されたのは「抑肝散加陳皮半夏」という漢方薬

クリニックでは40分ほど話をしました。
息子が一体なぜそうなっているのか、はまだ検査をしていないので診断名はつきません。
ただ、一番困っていたのはイライラが抑えられないことだったので、イライラを抑える「抑肝散加陳皮半夏」という漢方薬を処方されました。
実はこの薬は市販もされていて、数か月前から飲んではいたのですが。
病院での処方の方が薬の成分が濃いということで試してみることになりました。

 

2回目で処方されたのは「リスペリドン」

2回目の診察は、初診から3週間後でした。
漢方薬は効いたような効いていないような、という状況でした。
そしてこの時に、担任の先生に書いてもらった学校での様子を伝える書類を持参していきました。
病院宛なので私は中身を見ていませんが、それを一読してすぐに先生が「周りがよく見えるようになる薬を試してみましょう」と言いました
この「周りがよく見えるようになる薬」というのがリスペリドンです。
副作用があることも知っていたので不安はありましたが、手紙の内容を見てからの先生の反応の速さから、私が聞いている以上のことがもしかしたら手紙には書かれていたのかもしれない…という恐怖と、息子本人が「周りが見えるようになりたい」と言ったので試すことになりました。

また、イライラを抑えたいという息子の希望もあって、朝の抑肝散加陳皮半夏も続けています

 

リスペリドンを飲んで数日後から劇的に状況が改善

リスペリドンを処方されてからも、私の中にはまだ迷いがありました。
処方されたのは0.5錠と一番少ない量とはいえ、薬自体はかなり強い薬です。
リスペリドンの成分である「リスパダール」を検索すると、「リスパダール 廃人」などが出てくるんです。
息子のいいところまでが失われたらどうしよう
まだ10歳なのに、今後ずっと薬漬けの人生になったらどうしよう
副作用が強く出て健康被害で苦しんだらどうしよう
やっぱり飲ませるのをやめようかとも思ったのですが、その時に思い出したのが息子の悲痛な言葉でした。
病院に行くほどの状況なんだとようやく自覚した時、泣きながら「自分はこの先社会に出て一人で生きて行けるか不安だ」と言ったんです。
副作用とこの精神的な苦しみと、どちらが辛いかわからない、とりあえず試してみようと決めました。
そして、結果としては今のところとても順調です。
イライラすることがなくなりました
教室を出ていくこともほとんどなくなりました
授業も前を向いて聞ける時間が増えました
さらには、友達と協力できるようになったり、困った友達を助けられるようになったりするようになりました。
何より、毎日とても楽しそうに学校に行き、帰ってくるようになりました。
リスペリドンを飲んでからは、学校からの電話は「今週も特に大きな問題はありませんでした」という金曜日の1回だけになりました。

 

自分の子どもが育てにくいと思ったら迷わず受診をおすすめします

まだまだ状況を見ていく必要はありますが、うちの場合はリスペリドンを飲むことで状況が落ち着きました
もっと早い段階で受診していれば、本人も苦しむ経験をそんなにしなくてすんだのに、と思います。
保育園の時、小学校3年生の時、それぞれで担任に受診をした方がいいか相談をしたことがあったんです。
でも、その時は「そんな感じではないと思います」と言われていました。
だから、この程度は”普通”として育てなければならないのだと、子育てをやってきました。
息子が”普通”なのであれば、周りの子が我慢できることは息子にも我慢させなければならない、ということです。
意図的にやっていないのに怒られる息子、何回言っても伝わらなくて疲弊する私
お互いに「なんでわからないんだ」というのがただただ、蓄積していくだけでした。
それが、通院したことで、ようやく脳の仕組みのせいだとわかったんです。
やっと第三者から、他の子と同じように育てなくていいと、認めてもらうことができたんです。
原因と理由と対策が、きちんとわかって本当に楽になりました

周りを見ても、同じように課題を抱えているように見える子どもが増えているように思います。
ただ、実際にクリニックに通っている子は少ないように思います。
息子がそうだったように「キミは普通だ」と言われているのかもしれないし、親がそういったクリニックに行くことに抵抗があるのかもしれません。
でも、もし他の子と比べて明らかに育てにくさを感じる、ということを日々感じるのであれば一度発達系のクリニックに相談に行くことをおすすめします
すぐにでも受診したい、となっても多くの場合は数か月以上は待つ必要があります。
深刻な形で表に現れる前に、クリニックとのつながりを作っておくとよいと思います。

 

息子を心の底からかわいいと思えるように

クリニックの初診で言われたのは、「息子にとって、私が一番信頼できる人間でいなければならない、そのためには私が息子のことを誰よりも信頼しなければならない」ということでした。
正直、私は息子のことを心からは信頼できていませんでした
なぜなら、脳のせいで息子の言動がおかしくなっている、ということを知らなかったから。
わざと怒られるようなことをして挑発している、と思うことも多々ありました。
勉強面ではむしろ成績はいいので、頭の良い子なんだから、やっていいことと悪いことの判断ができないわけがない、と思っていたんです。

でも、息子もなぜそうなってしまうのか自分でわからず苦しんでいたのだということが今回わかりました
リスペリドンを飲んで気持ちを落ち着かせることで、周りに気を配ったり、相手を思いやったり、息子のいい面がどんどん見られるようになってきたのですが、そんないい面を邪魔するほどの、イライラした負の感情にずっと苦しんでいたのか、と気づきました。

今は、息子のことが心の底からかわいいと思えています

学校からの電話で息子の暴挙を聞いたときにはショックでしかありませんでしたが、今は対応できるタイミングで表に出してくれてよかった、と思っています。
わたしがまだ会社員だった時だったら、今ほどフットワーク軽くいろんな所への相談に行ったり、クリニックに通ったりはできなかったと思います。
もう少し息子が大きくなって反抗期なども重なってきたら、素直に話をしたり、通院したり、しなかったかもしれません。

まだまだ始まったばかりの戦いですが、息子を心から愛していれば、乗り越えられると信じて進み続けたいと思います。

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