出産前にイメージしていた、母乳をあげるママと赤ちゃんの穏やかな風景。
あれに至るまでは、私にとっては地獄の日々でした。
出ない!痛い!眠い!
完全母乳なんて私には無理かも…でも時間はかかったけれど完母になれました。
最初は時間がかかっても、完全母乳で育てられたから、焦らなくても大丈夫だよ、という話です。
産んだその日から乳腺炎のようにパンパン
赤ちゃんが生まれると、ママの身体は妊娠モードから一気に育児モードに切り替わります。
赤ちゃんに母乳をあげなきゃ!と母乳が作られるようになるんです。
人間の身体って本当にすごい。
ただ、特に初産の場合は、その母乳を出すための乳腺が未発達。
できた母乳を外に出すことがなかなかできません。
出られない母乳が貯まり、熱を持ち、おっぱいはカチカチに張りました。
寝返りなんてとんでもないし、ちょっとパジャマが触れただけでも激痛が。
これを脱するには、少しずつマッサージをして、少しずつ母乳の出がよくなるようにしていくしかありません。
マッサージしても全然出ない!
助産師さんの指導のもと、マッサージをするのですが、全然母乳が出てこない。
触れるだけで痛いところを我慢してマッサージするのに、出てこない。
ずっと下を向いてにらめっこなので、肩と首の凝りも半端ない。
やっと出たと思っても、1滴とか2滴で、マッサージする指に染み込んで消えていく…。
周りのママが出始めるのを見れば見るほど気持ちだけが焦ります。
授乳後に赤ちゃんの体重を測って母乳の量を知る
赤ちゃんの体重は1g単位で測れる体重計で日々計測をします。
授乳前と授乳後に体重を測って、その増加分が飲んだ母乳の量。
それを毎回助産師さんに報告するのですが…。
2gとか3gの日が続きました。
0gの時もあったりして、あの20分間、この子は何をしていたんだろう…と思ったり。
気持ちが落ち着かず、数gサバを読んで報告することもありました。
補足するミルクの量が減って行かないプレッシャー
そんな状況なので、母乳だけでは足りません。
母乳の後にミルクを足してあげます。
助産師さんから”絶対に母乳で育てなさい!”と言われるわけではなかったですが、
雰囲気的に”早く母乳だけにできるといいですね”というのがひしひしと伝わってきます。
同じ時期に産んだママたちが4~5日目になると母乳だけで足りる回が出てくる中、私はそんな気配すらなく。
ミルクだけで育てる場合の量と同じだけのミルクを毎回与えていました。
だんだん必要なミルクの量も減っていくから、と言われる中、全然減らない。
ものすごいプレッシャーがあり、そして、情けなさがあり、
授乳後に「ミルクを足しましょうか」と言う言葉を聞くと涙が出ました。
2~3カ月で母乳だけになりました
退院後も母乳の後にミルクをあげるのは続きました。
最初の頃は、ミルクをもらえるとわかっているから母乳をあまり飲まないのでは!と思ってミルクを減らしたりもしましたが、赤ちゃんの機嫌が悪くなるだけで何の効果もなく。
母乳が十分出ないと、赤ちゃんがずっと吸いっぱなしになって、授乳時間も長くなります。
20分で終わるはずのところ40分かかったりもしました。
それだけでヘトヘトなのに、そこからミルクを作らなければならない。
気持ちも身体も本当にきつかったです。
ミルクがなくても満足そうにしてくれるようになるまで、2~3カ月かかりました。
でも、2~3カ月頑張れば、完全母乳になったんです。
時間はかかったけれど、私にもできた!とホッとしました。
そもそも、別に母乳じゃなくてもよかったんだ
出産後は全く余裕がなくて、視野を広げることができません。
母乳の出の悪さに苦しんでいる時期、私は同じ病院で同じ時期に出産した、母乳の出がいいママたちしか知りませんでした。
だから、母乳じゃなければ!と気持ちの焦りがあったのですが。
半年くらいして少しずついろんなママと知り合いになっていくと、母乳じゃない人もたくさんいるんです。
母乳の出が悪くて諦めた人もいれば、仕事復帰のことを考えて最初からミルクと決めていた人もいる。
母乳とミルクを半々にしておけば、突然のママの外出にも対応できるから便利だよ~という戦略家も。
なんだ、そうだったんだ、と思いました。
こういうたった一言が聞けていたら、あんなに苦しまなくてすんだのに。
オマケ~授乳部屋で私だけ肩をもまれた話~
娘を産んだ病院は母子別室で、授乳のためには赤ちゃんたちのいる部屋に行くシステム。
赤ちゃんの授乳間隔は2時間と短いので、授乳スペースにはいつも何人かの新米ママがいました。
お互いが見える状況で授乳に奮闘するわけです。
そこに助産師さんも常駐してくれていて、アドバイスをしたりおっぱいのマッサージをしたりしてくれます。
私も何度かいろんな助産師さんにマッサージをしてもらっていましたが、それでもほとんど出なくて。
だから、マッサージされるのが嫌だったんです。
その日に会った助産師さんは初対面の人で、出ない私の奮闘ぶりを見て「マッサージしようね」と言ってきました。
「はい…でもマッサージしてもらっても出ないんです」と言うと「大丈夫!私ならできるから!」と。
ベテランさんなのかしら…もしかしたら出るかもしれない!!と期待をしていたら、ものの数分で「出ないわねえ」と言い出しました。
「そうなんです、今までもやってもらってもダメだったんです」と言うと、「そうか…」とあっさり諦められたと思ったら後ろに回って肩をもみ始めたんです。
「じゃあこっちをもんであげよう、お疲れ様!」と。
きっと、親切心でやってくれたんでしょうね。
でも、私はおっぱいを揉むことを諦められ、あなたには母乳は無理、と言われた気がしました。
辱められたやり場のない、怒りのような、情けなさのような、悲しさのような、なんとも言えない感情。
「はい、終わり!」と肩のマッサージを終えた助産師さんに、「ありがとう」なんて言えなかった。
涙をこらえるのに必死でした。
2人目の出産で、自分は母乳がスムーズに出るまで時間がかかる、でも必ず出るようになる、という経験があったから耐えられたけれど、あれが1人目での体験だったら、号泣していたと思います。
スムーズにいく人もいれば、人の何倍も苦労する人もいる。
何においてもそうですね。
「なるようになる」「なんとかなる」育児となると、なかなかそう思いづらいけれど。
いろんな価値観があるし、いろんな達成方法がある。
もし母乳の出が悪くて悩んでいるママがいたら、少しでも気が楽になれる足しになれば幸いです。
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