私は2018年7月末に会社員を辞めて、今はフリーランスとして仕事をしています。
その会社には13年も在籍していたので知り合いも多いし、付き合いも深かった人も多く。
会社の近くまで行くこともあるので、ちょくちょく元同僚とランチをします。
ある同い年の同僚
その中でも、定期的に会う同僚がひとりいます。
私が中途入社で入ったので、いわゆる同期とはちがうけれど、
社会人歴も年齢も同じで、子どもの年齢もほぼ同じ。
似たようなキャリアを積んできて、似たような家庭環境にあります。
会社員時代から、ワーキングマザーとしての悩みやら葛藤をぶちまけあってきました。
彼女の日々の時間の過ごし方
今も彼女は同じ環境で仕事を続けています。
つまり、少し前までの私と同じような日々が続いているわけで。
時短勤務なので16時半には帰りますと言いながら17時25分くらいに退社。
大急ぎで下の子のお迎えのために保育園へ。
家に帰ったら食事の準備、お風呂、片づけ、寝かせつけ。
子どもたちが寝たら、上の子の学校の準備や宿題のチェック。
11時頃に就寝して、4時に起きて持ち帰りの仕事をする。
6時に子どもたちを起こし、諸々準備をして7時半に家を出る。
少し前まで、自分もそうだったのです。
それが当たり前の日常。
でも、改めて客観的に聞くと、うわあ…しんどいねえ、と声が洩れます。
ワークライフバランスなんて響きだけ ライフがどんどん削られる
今、はやりの「ライフワークバランス」。
私の働いていた会社も高らかに掲げていました。
「ライフワークバランスを重視した人事制度で働き方改革を!」
確かに、日々ギリギリながらなんとか仕事も続けて、子どもたちも成長してくれていました。
それを”ライフワークバランスが取れている”というのだろうし、
周りからも「すごいね、仕事と家庭の両立ができていて!」と何度も言われました。
でもそれは形だけで、ライフ(育児)の方は中身を伴っていなかったと思います。
ワーク(仕事)は中身が伴わないなんてことは許されないので、100のエネルギーのうち使える限りのエネルギーを仕事に使います。
ライフのために50のエネルギーを確保したくても、捻出できない。
”バランス”なんていうから、ライフとワーク半分ずつかと思っていたけれど、そうじゃないんです。
ライフの方を削って削って犠牲にすることで、ワークへの影響を最大限小さくすること。
それが、私が働いていた会社での実態でしたし、今も彼女はそんな中にいます。
気持ちの余裕がないとイライラするし、ぎくしゃくする
ライフの方を犠牲にすると、何においても余裕がなくなってきます。
時間的な余裕は目に見えて把握できますし、体力的にも辛いです。
そして、一番よくないと思ったのは気持ちの余裕がなくなることでした。
その状況が当たり前になると、気づかないんです。
自分に気持ちの余裕がないことに気づけない。
ちょっとしたことでイライラするし、
子どもの話を聞く気もしないし、返事もおろそかになる。
「早くして」「ちょっと待って」「あとでね」が口癖になる。
「子どもとは家でたくさん話をしてください」と学校のプリントなどに書かれているので、話さなきゃとは思うんです。
だから、「はい!いま話す時間!話して!!」って時間を作っていました。
でも息子は「話すことは別にない」「わすれた」ばかり。
「ママはあなたと話がしたいの。だから話して!」
突然話す時間枠を作られて、イライラした口調で問いただされて。
そんなんじゃ話したいことも話せなくなるよな…。
今なら冷静にそう思うけれど、当時はそうでもしないと話す時間がありませんでした。
気持ちの余裕ができた今は、息子が自分の話したいタイミングで近寄ってきたら、手を止めて「どうした?」と言えるようになりました。
食事の後の片づけの合間とか、テレビを見ていてCMになった時とか、寝る前のゴロゴロする時間とか。
話したいことが出てくるのって、そういう時なんだな、とようやく気づけました。
万年反抗期だという同僚の小学4年生の息子
その同僚の息子さんは小学4年生。
何を言っても聞かないし、口答えするし、大変だ、といつも言っています。
私は自分が変わることで息子が大きく変化したのを目の当たりにしたので、
息子さんの状況は、母である彼女の働き方が影響しているんだなと思うし、
彼女自身もそうだと自覚しています。
彼女に「会社辞めてからどう?」と聞かれるたびに「毎日がとても平和になった」と答えています。
そして、毎回「そうだろうね。でも私は辞められないなあ」と返事が返ってきます。
「私が辞めたら万年反抗期の息子は素直になるだろうし、愛しいと思えるようになるんだろうけど」
「生意気でクソっと思うけど、私のせいもあるんだろうな」
「じゃあ、辞めればいいじゃん!」と軽くも言えないけれど
自分が会社を辞めたら家庭が平和になる。
そうわかっているなら、辞めればいいじゃん!
そう言うのは簡単です。
でも、実際にはそんなシンプルな話ではなく。
私自身もずっと悩みながら、8年間辞められませんでした。
ワーキングマザーとして働く背景には、人それぞれいろんな理由があります。
これまでもいろんな覚悟を決めて働いてきたわけで、
子どもや家庭が大切なのはもちろんだけど、他にも大切なものがたくさんあります。
そして矛盾するように聞こえますが、彼女の場合は子どものために働いているという側面もあるんです。
子どもがやりたいということを、金銭的な理由で無理だと断るのは避けたい、と。
私立の中学校に行かせてあげたい。
たくさん旅行に行かせてあげたい。
習い事もやらせてあげたい。
旦那様もお仕事はされているけれど、子どもに金銭的に余裕のある生活をさせてあげるには自分が働く必要がある、と。
現状、家庭内の雰囲気があまりよくないのは、今の会社で忙しく働く自分のせい。
でもそのおかげで、子どもたちの将来の選択肢が広がるはず…。
私は8年悩んで、金銭的な面よりも、情緒的な面を優先させようと決めました。
それが、将来的にもいい影響につながると決断したから、会社員を辞めました。
何を優先するのか、そしてその効果が出るのをいつに設定するのか、判断するのは難しいです。
そんな悩まなくても、適度に働いて、適度に収入を得て、平和に家庭を築ける仕組みが社会でもっと広がればいいのに。
フリーランスとしてそれを実現する一例となれたら、「じゃあ、辞めればいいじゃん」と言えるかな。
そう言って、会社を辞める決断のあと一押しをしてあげたい相手は、彼女以外にもたくさんいます。
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