エレファントカシマシ。何度も聴こうと思わせる圧倒的な表現力

楽曲はなんのために作られるのか

以前、小説はなんのためにるあのか（書くのか）、についてブログで書いたことがありました。

夫曰く、それは小説家が伝えたいメッセージを伝えるためだ、と。
ひと言で伝えられるものではなく、あれだけの長い文章をつづらないと伝わらないことがあるんだ、と。
よくわからなかったんですけど。

エレファントカシマシのファンになってしばらくが経過して。
それが、楽曲においてもそうなんだろうな、と実感しています。

エレファントカシマシの何に惹かれたか

最初にエレファントカシマシのMVを見たきっかけは宮本さんの表情でした。
何かを訴えようとしている歌っている時の表情。

そして聞いた直後からは、その声の質。
まさに神様からのgift（神様に与えられた才能）だと思います。
小学校の頃、自分の身体を楽器だと思って歌を歌えと教えられました。
宮本さんの声はバイオリンで例えるならストラディバリウスだ。
歌がうまいとかどうとか以前に、とにかく声がいい。

もちろん、歌がうまい。
歌手なので当たり前なんですが、歌手の中でもダントツだと思います。
音域の広さもすごい。
他のアーティストの曲をカバーしても、本物よりもいい曲に歌い上げたりしてしまう。

メロディの耳あたりがよく、バンドの演奏も素晴らしい。
以前、あるJ-pop音楽を家で聞いていたら。
息子も娘も「うるさい」と消さされたのですが、
エレファントカシマシだと「それなんて言う曲？」と寄ってきました。
娘に至っては、聴いていたスマホを取り上げて、じっと見入っていました。
”音楽”としても単純に優れているのだろう、と思いました。

メッセージがドーンと伝わってくる。
エレファントカシマシの楽曲は、曲調からメッセージの内容まで多岐に渡ります。
バラードのような曲もあれば、攻撃的な曲もある。
でも、どれが得意でどれはやや無理がある、という感じは全くしない。
どの曲もすべてから、それぞれのメッセージがダイレクトに届きます。

歌詞の理解は反芻しながらちょっとずつ

私がエレファントカシマシを好きにになったのは、その総合体としての表現力にぐっと心をつかまれたからなんですが。
印象に残るものを順番に書き出してみると、歌詞が一番最後にくるんです。

もちろん最初に曲を聞く時から歌詞も耳には入ってきますが、日本語として頭で理解するのは何度も聴いた後。

たとえ歌詞を理解していなかったとしても、伝えたいことがあるのだということが伝わるんです。

なので、その伝えたいことはなんなんだろう、と何回も聴く中で少しずつ理解していく。
字面を追うだけじゃなく、その歌詞に込められた深いところを理解しようと反芻する。

同じ曲でも受け取るメッセージは都度変わっていく

ネット上の動画を漁って見ていた中に、過去の様々なイベントでの楽曲を振り返る座談会がありました。
その中で、宮本さんが語っていたこと。（細かな表現は確かではありませんが）

「毎年同じフェスに呼んでもらえていても、毎年同じことをやっているだけじゃダメなんだよね」

毎年自分たちもお客さんたちも変わっていく。
だから、どの曲を歌うか、どの順番で歌うか、とても悩む。

今だからこその伝えたいことがある。
それをどう表現するか、しんどくて、ツラくてたまらなくなるくらい悩むそうです。

「歴史前夜」という曲があります。
これはあるフェスで一度だけ歌われた曲。
伝えたいことがあって、でも今作っている曲が完成していない。
歌詞どころか、タイトルさえ決まっていない。
でもその曲を歌った（歌ったというか、しゃべったというか、ハミングしたというか）んです。
「ありえない決断だった、けれど、それでもこの歌を今歌いたい、この歌で伝えたいことがある、というのはお客さんには伝わったと思う」と宮本さんが話していました。

エレファントカシマシの曲を聴く中で、宮本さんが伝えたいと思ったメッセージを正しく自分は理解できていないかもしれない。
でも、この座談会を聴いて、それでも許してくれるんだろうと思いました。

自分の状況によって、同じ曲でも感じ取るものは変わります。
ある瞬間突如として、こういうことだったのか！と気づくこともあったりします。