自覚し対処する勇気を。コンサル時代の実体験から実感するストレスの怖さ。
昨日が会社員としての最終日でした。
とはいえ、6月末を最終出社日として、7月は有給消化させてもらっていたので、7月はフリーランス準備期間。
この1カ月ストレスのない生活を送ってみて改めてストレスが体と心に与える影響の大きさを感じました。
ストレスはその深刻さの認知が不十分
ストレスってまだまだその怖さが社会的に十分認識されていないように思います。
「ウイルスに感染して体調を崩して会社をお休みします」だったら「かわいそうに、お大事に!」と言われるのに、「ストレスで体調を崩して…」というと「やる気が足りない」とか、「どうせ遊び明かしたんでしょ」とか、「もうちょっといいウソないの?」とか言われかねません。
ストレス起因の病気の1つとしてのうつ病は、今は認知度が上がってきましたが、私が最初の会社に入った頃はまだまだ身近に耳にすることはない病気でした。
自分は身体の丈夫さだけが取り柄だと思っていた新人時代
新入社員として入社したコンサルティングの会社。
業界的にも超激務で知られているし、実際に超激務でした。
入社式翌日の研修から、終電で帰るのは当たり前、帰ってからも持ち帰ったパソコンで3時4時まで仕事をして、翌日はもちろん定時出社。
(今は昨今の過労死問題や労基署のアドバイスも受けて改善していると聞いています。)
時間的なしんどさはもちろんですが、それ以上にプレッシャーがすごかったです。
経営コンサルティングの仕事なので、クライアント企業の業績がかかっているわけです。
大学を出てすぐの私たちにも”経営のプロ”であることが求められます。
クライアントよりもその業界について詳しくなければならない。
最近の経済全般のトレンドを把握しておかなければならない。
当時いらっしゃったいろんな会社を経験されてきた派遣社員さん曰く、「業界ごとに”会社の常備薬”の中で売れ筋の種類が違う」らしいんですが、コンサル業界は断然胃薬でした。
ストレスで胃がやられるんです。
人間ドックで、自然治癒した胃潰瘍の跡が2つ見つかって医者に驚かれた先輩がいたり、いつも土気色の顔をしてひょろひょろ歩いている先輩がいたり、そんな環境でした。
そんな中で、私は特に体調を崩すこともなく2年くらい乗り切っていたので、身体の丈夫さだけが取り柄だな、と思っていました。
急に現れた体の不調
忙しいプロジェクトが終わってホッとしたつかの間の閑散期。
パソコン作業中、急に顔に違和感を感じたかと思ったら、数分のうちに目や鼻や口が腫れあがってきました。
ちくちくした傷みと少しのかゆみ。蕁麻疹です。
その日は仕事も忙しくなかったのでタクシーですぐに家に帰りましたが…。
そこから毎日日に日に体調が悪化していきました。
顔に蕁麻疹が出るのは断続的にあって、だんだん”そろそろくるな”という兆候がわかるようになりました。
顔に出てしまうと、見た目がお化け屋敷のお化けのようになるんです。
目が腫れると視界が遮られて前が見えなくなります。
唇が腫れると口がうまくとじなくなります。
口の中が腫れると口を閉じたらいいのか開けたらいいのかわからなくなって、のどが腫れると息苦しくなります。
そして、胃痙攣も数日に1回。
胃がキリキリと雑巾絞りでねじ上げられるような痛みと、細かく鋭く突き叩かれているような痛みで動けないし起き上がれない。
蕁麻疹と胃痙攣はツライけれど、症状がなければ出社できたからまだよかったんです。
だんだん、身体を縦に起こすのが(起こした状態でいるのが)ツラくなってきました。
起き上がれたとしても、身体と足が重くて、ゆっくりしか歩けなくて、杖を突きながら歩くお年寄りにもどんどん追い抜かされていく。
会社についてパソコンの画面を開いたら、画面が湖面のように波打って見える。
指を画面にタッチすると、波紋が広がる。
もっと奥があるんじゃないかと向こう側に指を突っ込んでみようとして失敗して、ああパソコン画面だったんだと気づく。
3つ病院を回って出た診断が「多分、自律神経が弱ってるんだね」
さすがに放置できないと思って、病院に行きました。
今、うつ病に関する情報がこれだけある状況でこの話を聞いたら、精神内科に迷わず行ったと思います。
でも当時は、うつ病の情報なんてほとんどなくて、とりあえず内科に行きました。
納得できる診断がもらえなくて3つ病院を回りましたが、どこも同じでした。
「原因がわからない」
「なぜそんな症状が同時に重なっているのか…疲れがたまったのかな」
「多分、自律神経が弱ってるんだろうね」と。
今だから、ストレスが原因だったのだと思える
今だから、ストレスが原因で体調を崩したのだと思えます。
でも当時は”この前のプロジェクトはなかなかハードだったからその疲れが今になって出ただけか”と納得していました。
ストレスという言葉はもちろん知っていましたが、ここまで体調を悪くするほどのものだなんて思ってもいなかったんです。
どれだけ病院を回っても体調不良の原因はわからなくて、だから薬もないし、具体的な対処法も教えてもらえない。
こんな身体の状況でハードワークを続けるのは無理だ、と思って転職を決めました。
転職をしたらウソみたいに元気になった
転職をして数日後から、明らかに体調がよくなりました。
胃が痛くない、蕁麻疹が出る心配がない、足取りが軽い。
そこで初めて、前職の仕事によるストレスの大きさを実感したのでした。
コンサルに比べれば楽というだけで、転職後の会社もそれなりの激務でした。
悲しいことに、メンタル面で体調を崩してお休みしたり、退職したりする人が定期的に発生します。
そして会社を去る決断をした後に話を聞くと、間違いなくみんな「驚くほど体調がよくなった、あれは何だったんだろう」と言います。
片頭痛が治った人、身体のむくみがとれた人、便秘が改善した人…。
ストレスは全身にいろんな形で現れるんです。
原因が特定しづらい病気のほとんどはストレス起因なのではないかと思います。
ストレスを自覚し、対応する勇気を
仕事に限らず、日々生活しているだけで何らかのストレスはあるものです。
例えば、天ぷらを揚げている最中に来客がある、とかそれだってストレスです。
処理しきれるストレスならいいのですが、処理能力を超えて過剰にたまりすぎるのが問題。
そして、経験したからこそわかりますが、ストレスが過剰にたまっているというのは自覚しづらいです。
また、他のみんなは乗り切れているんだから自分だってできるはず、と思ってしまいます。
さらに悪いことには、体の不調という形で現れ始めても、しばらくは気づかないふりをして仕事が続けられてしまうんです。
本格的に体が動かなくなるところまで、ギリギリまでなんとかなると思ってしまう。
ストレスの怖さがまだまだ十分に認識されていると思えない社会において、病名がつかないまま仕事を軽くしてもらうとか、少しお休みを取るとかいうのは難しいとは思います。
でも、本格的に体調を崩してしまうと、通常モードに戻すまでにかなりの時間がかかります。
最近ではストレスチェックテストというストレス状態を自覚するためのテストを、会社が年に一度やる制度ができました。
そんなのも適宜利用して、きちんと自覚して、強がらずに認めて、忙しいからと知らないふりをせず、早めに対応する勇気を持ってほしいなと思います。
健康に勝るものはない。
そして、健康とは”身体が病気ではないこと”だけではなく、”心も元気で社会的にも適切に認められている状態”のこと、ということも正しく知ってほしいです。
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