ほうれん草の正しい茹で方。シュウ酸は除去したいし、ビタミンは残したい。
家庭によって違うほうれん草の茹で方
食卓によく上るほうれん草ですが、茹でる時にいつも悩みます。
どうやって茹でるのが一番健康にいいんだろう、と。
私が気になるのは、シュウ酸(エグ味の元)を除去したいからしっかり茹でたい、でも茹ですぎるとビタミンも溶け出てしまう。
そのバランスの良いところはどこなのか…ということ。
悩みながら、私はいつも鍋にぐつぐつお湯を沸かして、くったりし始めるくらいで火を止めます。
人によってはぐんにゃりするまで茹でる人もいるし、無水鍋で水を入れずに茹でる(蒸す)人もいるし、レンジでやってしまう人もいる。
どうするのがいいのか、改めてきちんと調べてみました。
小学校の家庭科で習った「ほうれん草に含まれる毒!?」シュウ酸
小学校5年生の時、家庭科の授業で衝撃的な事を習いました。
「ほうれん草にはシュウ酸という毒が含まれています。だから必ず茹でてシュウ酸を溶かし出しましょう。」
当時、実家でたくさんほうれん草を育てていて、毎日のように食べていた私は衝撃を受けました。
ほうれん草に毒が含まれていたなんて!!
「シュウ酸」とは
ほうれん草が生煮えだったりすると、独特のエグ味やニガ味を感じることがありますが、その元となっているのがシュウ酸です。
シュウ酸が毒だと言われた理由は、シュウ酸を摂取すると体内でカルシウムや鉄分と結合して、それらの栄養分も体の外へ排出してしまうから。
つまりシュウ酸を摂ると、カルシウム不足を招いたり、結石(尿路結石とか激痛だと言いますよね…)を作り出したり、ということにつながる可能性があるんです。
ただ、日々食べる量では影響はなく、毎日1kg食べ続けたらという程度です。
食品成分データベースを見ても、生のほうれん草であってもシュウ酸は0.7g/100gしかありません。(茹でると0gになるんですね!)
ほうれん草から「シュウ酸」を取り除く方法
小学校では”毒”と習ったわりに、普段食べる分には健康被害は気にしなくてもよさそうです。
ただ、味という観点ではやはりエグ味はない方がおいしいので、取り除くに越したことはない。
家庭科の授業では、シュウ酸を「溶かし出しましょう」と習いましたが、それはシュウ酸が「水溶性の物質」だからです。
お湯で下茹ですると、茹で汁の中にシュウ酸が溶け出すので、ほうれん草から除去できます。
そう考えると、無水鍋での調理は、水道代もガス代も節約できると評価されますが、ほうれん草のシュウ酸除去という観点では適さないかと思います。(シュウ酸が溶け出すためのお湯がないから)
手軽にできるレンジ加熱も同じで、ほうれん草がくたっとなるだけで、シュウ酸は残ったままです。
ほうれん草を下茹でする理由が単純に「やわらかくしたいから」なら別ですが、シュウ酸を取り除くため(味をよくするため)ならお湯でぐつぐつ茹でることが必須です。
ほうれん草を茹でる時の「ビタミン」の残し方
ほうれん草の栄養素として目立つのは、ビタミンA、ビタミンC、葉酸、鉄分など。
ただ、これらも水溶性なので茹でるとシュウ酸と同様、お湯に溶けだしてしまうんです。
なので茹ですぎないことが重要。
・根元の方から茹で始める(手でほうれん草を持って、鍋に立てながら茹でる) ・根元は火が通りやすいように切れ込みを入れておくとベター ・根元が少し柔らかくなったら茎→葉の順でお湯に入れる ・根元を茹で始めてから終わるまでは1分程度に ・茹で終わったらすぐにお湯から出し、冷水でしめる(お湯につけておくとどんどん溶けていく) ・冷水でしめた後も水気を絞って保管する(水につけておいても溶けていく)
食品成分データベースで確認すると、生のほうれん草と茹でたほうれん草の100gあたりの葉酸やビタミンCの量を比べると、茹でたものは生に比べて50%くらいに減ります。
ただ生100gは茹でると70gくらいになるので、実際の同じ量で比べると残量はもう少し高いはず。
茹で時間に気を付ければ、そんなに栄養素の減少は気にしなくてもよさそうです。
ほうれん草は立てながらお湯でぐつぐつ1分茹でて冷水でしめるるのが正解
シュウ酸(エグ味)を取るためには、ゆで汁が必要。
栄養素を溶け出し過ぎないようにするためには、1分程度で茹でる。
茹でた後もそれ以上溶けないように気を付ける。
あいまいな記憶に頼って、なんとなく不安になりながらほうれん草を茹でていましたが、これからは自信をもって茹でられそうです。
小学校で習った知識って侮れませんね。
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